価格規制と数量規制:関東の電力不足対策
今回の震災で被害に会われた方々に心よりお見舞い申し上げます。過去に例の少ない悲惨な被害と、過去に例の無い多くの映像記録とに圧倒されつつ、色々と思うこともありました。しかし私の個人的な感情には衆目に晒すほどの価値はありませんので、ここでは自分が書けることを書いていこうと思います。
少し前にニュースを読んでいたら、民主党の岡田幹事長が「計画停電に変えて価格制限を行うべき」と発言したらしい。確かに、現状の輪番停電はあくまでも緊急避難であって、今後より効率の良い方法を考えなければならないことに疑問の余地もなければ議論の余地もない。
ただし、それは「価格制限(価格メカニズムの活用)の方が議論の余地無く望ましい」という事ではない。価格メカニズムの活用は、経済学が得意とする効率的で「エレガント」な解ではあるが、非効率で野暮ったい数量統制(例えば配給制)の方が最適になるケースもあるということを、経済学は教えてくれている。
そこで、今回は少し趣向を変えて、少し経済学を表に出したエントリーを書いてみたい。もちろん、経済学を勉強していない人にも分かるように書くつもりだが、そうは言っても退屈に思う読者の方もいるかも知れないので、今回は「今日のまとめ」を最初に持ってくることにした。興味のない方はこれだけお持ち帰り頂きたい。
本日のまとめ
価格規制は効率性に優れるが、数量規制は確実性に優れる。(注1)
価格か量か、という単純な構図は存在しない。
少なくとも大口消費先(工場など)については、数量規制の方が望ましい。
価格メカニズムの活用は、数量規制から少しずつ移行していく形がよい。そのためには、電力消費量が一定水準を超えたところで料金が跳ね上がる仕組みが便利。
良心に支えられた現在の節電行動は、価格メカニズムの導入で消え去る可能性を考慮すべき。
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