大臣竹中平蔵氏の男気成分
この人が参院選に出馬すると聞いて、正直びっくりした。まさかホントに出るとは。
だってこの人が参院選に出馬して得することなど、これっぽっちもありゃしないのだ。議員をすっ飛ばして大臣になったお方が今更議員バッジなんぞに憧れを抱くはずも無いし、給料だってまぁ上がるのだろうが、大学教授やりながら本書きまくってTV出まくって講演やりまくったほうがはるかに実入りはいい(何しろ彼のレベルになると講演料はちょっとびっくりするほどの額になる)のだから、まさかそれが理由でもないだろう。
強いてあげれば、今後は「選挙で選ばれていない民間人が国政に関わるなど云々」といういやみやサボタージュの類を排除できることくらいだろうか。これにしても、彼の仕事を遂行する上では利益になるかもしれないが、彼個人の今後一生のキャリアにはほとんど利益にはならない。
筆者は、竹中氏が政界に入る前はこの人は結構器用な人なのだと思っていた。自分自身をうまく売り込んで器用に仕事をこなす才人だと。
でも彼が大臣になってからその印象は変わった。何しろ彼はこの3年間泥をかぶりっぱなしだ。彼の今後のキャリアを考えれば、最近何をしているのかさっぱり分からない行革担当相石原伸晃氏のように、適当にお茶を濁して記者会見で奇麗事だけ並べておくのがベストだったはずだ。
何事かを為そうと思えばどうしても敵を作ることになるし、敵を作りすぎれば大臣職を退いた後に人気評論家としてTVや講演に出るのも難しくなる。下手をすれば大学教授の職すら危うい(少なくとも、前に在籍した慶応大学と同程度以上の大学は難しいのではないか)。それが分かっていてあれだけ大衆受けしない政策を派手にやらかしたのだから、不器用も極まるというものだ。
彼がこの3年間に成し遂げた事をどう評価するかはまた別問題なので別の機会に書くが、今政界に自分のキャリアを放り出してでも自分の正しいと信ずる事を行っている政治家がどれだけいるだろう。筆者は別に今穴熊のように隠れている石原伸晃氏を非難するつもりは無い。だれでも、国の行く末よりも自分の将来を優先して考える権利を持っているのだから。誰も彼に自分の利害を捨てて国のために尽くせ、と命令する事は出来ない。
だが、それだからこそ、竹中氏のまるで不器用な、泥をかぶり続けてまで銀行改革に邁進するその姿勢は好感に値すると思うのだ。自民党からはいやみを言われ、マスコミからは叩かれ、銀行からは恨まれ、一方で味方は小泉首相くらいしかいない。いい加減疲れてもおかしくないというのに、この上更に参院選にまで出るという。個人のキャリアをここまで捨て去って国のためにリスクを取る人には、もう少し高い評価があってもいい。
実はこの人は、見かけによらず、魂が男気でできている人なのではないか。彼の参院選出馬のニュースを聞いて、そんなことを考えた。
追記:似たような事を考える人はいるもので、金融政策ネタでリンクしたBewaad氏も同じような事を書かれていた(というか、内容かぶってしまいました。すいません)。
さらに追記:コメントいただいたかみぽこ氏のHPにトラックバック。とりあえず、竹中氏の今回の選択については好意的な評価も結構あるようです。
(竹中氏の銀行改革をどう評価すべきかは、次回の「金融政策論議の不思議」で書こうと思います)


Comments
こんにちは。
目からウロコです。竹中氏が
「人気学者→国民受けする政策」をやるべきなのに、
「人気学者→国民受けしない政策」をやったというご指摘は、
秀逸だと思いました。
今後も楽しみにしております。
Posted by: かみぽこ | July 04, 2004 at 08:24 PM
記念すべき初コメント、どうもありがとうございます。
HP拝見しました。どうも1年生議員というのは私が想像していた以上に雑巾がけをやらされるのですね・・・。思っていた以上に竹中氏の支払うコストというのは大きいのかもしれません。
政治学の立場からは「責任の所在」が重要になるという視点にもうならされました。
それにしても、マスコミからやたらと叩かれているのであまり賛同してくれる人はいないと思っていたのですが、似たような事を考えておられる方がいるというのは心強い限りです。
せっかくですのでトラックバックさせていただきました。
今後ともよろしくお願いいたします。こちらもちょくちょく寄らせていただきます。
馬車馬
Posted by: 馬車馬 | July 04, 2004 at 10:19 PM
はじめまして。
竹中氏の出馬はやはり政治的なフリーハンドを得たいという一点に尽きると思います。
青木参院幹事長のような比較的小泉政権に好意的な人物でも「議員でない人に政策が左右されるのはよくないわな」と冷淡でした。
ですからこの出馬は党内の抵抗勢力(古い言い方ですね)の批判、あるいはその根拠を打ち砕くためのものだと思います。
馬車馬さんのいうように確かにそれは竹中氏自身にとっては何の得にもなりません。
ただ、竹中氏はその個人的な損得以上に自分の政策の実現を第一に考えてこの選択をしたのだと思います。
逆に言えば、自分の仕事が終わったら(小泉内閣が交代したら)議員の椅子を即座に捨てるつもりなのかもしれません。
彼の意図は議員としての政策実現ではなく、議員になることによる閣僚としての発言力確保なのですから。
慶應大学でも三田では比較的客観的な評が多いのですが、藤沢(竹中氏が勤めているところですね)ではもう少し熱を帯びた支持が多いと聞きます。
そう考えると、議員をぱっとやめた後に大学(藤沢)に戻るのもあるいは現実的かもしれません。
取り留めのない文、失礼いたしました。
Posted by: 真鶴さら | July 05, 2004 at 12:20 AM
真鶴さん、コメントありがとうございます。
なるほど、確か慶応大学の先生で竹中氏を口を極めてののしっている人がいたような気がしたので、「難しいんだろうなぁ」と思っていたんですが、色々あるんですね。
青木氏はよくいやみを言っていましたね。実は今回の出馬は少し前に公的資金注入関係の法律を参院で強行採決してもらう代わりに参院選に出る、という裏取引を青木さんとしたのかな、とも邪推したのですが。さすがに考えすぎだと思うんですけどね。
HP拝見しました。公職選挙法なんて考えてもいませんでした・・・気をつけないといけませんね。
法律系のネタも楽しみにしております。
今後ともよろしくお願いします。
Posted by: 馬車馬 | July 05, 2004 at 10:03 AM
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Posted by: adelty | August 03, 2011 at 04:18 AM
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Posted by: liappoica | September 05, 2011 at 09:40 PM