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実はまっとうな中国の経済政策

このネタはずいぶん前から頭の中にはあったのだが、当初これをブログで書くつもりはなかった。なにしろ中国ネタはホットトピックだ。5年前は中国発のデフレがどうだと騒がれ、最近は日本経済のエンジンだと騒がれている(ほとんど状況が変化していないのにここまで評価が入れ替わるのだから、日本の経済評論とはいい加減な代物だとつくづく思う)。

当然、主だったネタはとっくに語りつくされているはずで、今更なにかを語るのであれば気の利いたひねりを入れないと駄目だろうな、と思っていたのだが、この日経の社説を読んで考えを変えた。おいおい、全然分かってないじゃん。

天下の日経の社説にこんなものが載ってしまうのであれば、筆者もこのネタで少し語る資格がありそうだ。そこで、今回は少し基本的なところから中国経済について考えてみたい。最終的に、巷で根拠なく言われることの多い「中国経済がこのままうまく行くわけない」「固定為替相場制や行政主導主体の経済政策は邪道・時代遅れ」といった類の意見を、ちゃんと分析することがこの記事の目標だ。

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チキンレースのオッズを考える

前回の記事を読み直したらどうも尻切れトンボのような気がしてきたので、もう少し「結局、この先為替はどうなるのか」について書いてみたい(正直言って、相場の当てっこにはあまり興味がないので、筆者の予想自体はあまり気にしないで頂きたい)。

前回の記事を大雑把にまとめると、アメリカは巨額の貿易赤字をまかなうために海外から借金をする必要がある。逆に言えば、その他諸国はアメリカにモノを買ってもらうためにアメリカにお金を貸す必要がある。しかし、アメリカが借金をしすぎて返済できなくなるとみんなが考えると、一斉に借金の取立てが始まってドルが大暴落する恐れがある。でも、為替介入が続く場合、どうなるかはよくわかりませんね、ということだった。

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貿易黒字のチキンレース

本当は中国経済のことを書こうと思って色々と準備していたのだが、円ドルレートがえらいことになっているので、とりあえずこちらを先に書いておこう。

要するに、19日のグリーンスパン議長の「財政赤字を削減して貿易赤字を減らさなければ、将来的にドルが暴落しますよ(ものすごい意訳)」というコメントを受けて各方面で慌てている人が続出、という構図のようだ。どうも違和感があるのは、このコメントに対する反応が日本では結局介入をいつするのか、アメリカ様がお許しになるのかという点だけに集中してしまっているように見えることだ。

貿易黒字と介入と世界経済のバランスの話をちゃんと書いている記事はとうとう見つからなかったので、正直今更という気もするのだが、その辺りのことを書いてみることにしたい。

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ニッポンの統計(3) 使えるGDP、使えないGDP

先週7-9月期のGDPが発表された。予想外に低いとかで各方面で慌てた人が結構いたらしい。2003年度下半期のGDPが良かったというだけで浮かれていれば慌てる羽目にもなる。特にいそいそと増税に向けて地ならしを始めていた財務省とかはどうするのだろうか。正直、景況感もつかみきれてない段階で「選挙が終わったから」というだけの理由で増税トークを始めたようにしか見えないのだが、もう少し真摯に経済動向を見つめてもらいたい。なんで今増税なのか。もう少し落ち着け。

さて、本当ならここでGDPの詳細をチェックして今後の景気動向を占ったりするのがオーソドックスな話の流れなのだろうが、そんなことはネットの内外でレポートがたくさん出回っているだろうし、わざわざここで改めて触れることもないだろう。そこで、これを機会に長らく放置していたGDP統計の説明を再開することにしたい。

前回、日米のGDPを比べると、日本のGDPはやたらとぶれが大きいという話をした(下図参照。日米ともに直近までアップデート)。

JP-US-GDP-Q.gif

アメリカのGDPは比較的マイルドに推移しているが、日本のそれは3%程度のぶれは誤差の範囲内という有様だ。冒頭で書いた「GDPがちょっと良くなっただけで浮かれてもしょうがない」という意味がお分かりいただけると思う。日本のGDPは、直近の景気動向を見極める指標としては、ぶれが大きすぎてほとんど役に立たないのだ。

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金融政策論議の不思議(18) ベースマネーをいじってインフレには出来ない

久しぶりに当ブログのメインコンテンツである金融政策について書くことにしたい。Bewaad氏との論戦シリーズも5回目になり、そろそろタイトルをつけるのが苦しくなってきた。

Bewaad氏からの論点は4つ。まず、金融政策の波及経路をどう考えるか、という点について。続いて日銀が銀行から大量の国債を買い上げたとき、銀行の投資行動はどう変わるのか、という点。3点目は、その銀行の投資行動は過小な自己資本の制約を受けているのかどうかということ。最後に、経済政策のもたらすゆがみについて。議論全体の構造は15回16回を参照していただくとして、今回はこのまま各論を考えていくことにしよう。

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今週のThe Economist:イスラムの内なる戦い

原題:The Muslim world: The war for Islam’s heart (September 18th, 2004)

今週の~とか銘打っておきながら、9月の記事をいまさら紹介しているという点にはぎゅっと目をつぶっていただきたい。実は、一月ほど前に色々書いたのだが、議論の運びがあまりに雑なのに自分でがっかりして、没フォルダ行きの憂き目にあっていた記事なのだ。

それをわざわざいまさら引っ張り出してきたのは、例のイラクでの日本人殺害のニュースでやはりいささか思うところがあったからだ。今でも自分の議論の組み立てには納得しきれていないのだが、Economist誌が投げかけた視点を紹介するだけでも価値があるだろうということで、今回は自説を削り気味に書いていくことにしたい。

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