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ODAという自己満足

2週間ほど前、「金貸しがエライ理由」でODAの話を少し書いたときに気になったことがある。一応書くにあたって外務省のHPとかを軽く見て回ったのだが、記述に現実感がまるで無いのだ。『「人間の安全保障」は人間中心の視点を導入する考え方であり、紛争・平和と開発をつなぐ概念と捉えることで意見が一致した』とか書いてある。あっそう、それがどうした?という話だ。

「貧困削減についての具体的取り組み」の項目を見ると、『持続的な成長のためには、民間セクターが重要な役割を果たすことから、投資促進、経済活動の円滑化のためにODAを活用することが必要であり、交通網や通信網の整備・構築といった経済社会基盤(インフラ)の整備を通じ、人、物、情報の流れを円滑化し、民間セクターの活動を促進させることを明記することで意見が一致した。』とか書いてある。どこがどう具体的なのだ。とにかく一事が万事この調子である。以上は新ODA中期政策論点整理タスクフォースとかがまとめた論点整理から引用したものだが、メンバーは政府から小遣いをもらって会議室で昼寝をしていたに違いない。

あんまりな内容に呆れながら色々考えたのだが、どうもODAについてはお粗末なコメントや理解が多すぎるような気がする。そんなわけで、今回はまずODA政策のお粗末さに触れてから、なんでそんなことになったのかということを考えてみたい。

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国連中心外交という希望的幻想

日本が安保理の常任理事国になるかならないかという話が地味に進行している。ただ、どうもマスコミの報道の仕方が気になってしょうがない。それほどまじめにマスコミウォッチをしているわけではないが、このネタで「どの国が日本の常任理事国入りに賛成しているか、または反対しているか」以外の視点の記事を見たことが無いのだ。

もし国連というのが世界に君臨する「世界政府」であるなら、それだけ考えていれば十分だ。だが、言うまでもなく現実は違う。国連というのは単に多くの国が集まって話し合いをする「場所」に過ぎない。今までだって、安保理決議が実効力を持ったのはそれが軍事大国の間での合意事項であったからで、安保理決議それ自体は本質的には何の力も無い。

もちろん、国連も自前の官僚組織を持つ以上、それなりの実体はあるわけだが、基本的にはロジスティクス(適当な訳語を思いつかないのだが、誤解を恐れずに訳せば「雑務」)を担当しているだけで、国連での意思決定には関係が無い(この官僚組織がいい感じに発酵して芳しい匂いを発するに至っているということは例のOil4Foodのスキャンダル辺りからも明らかなのだが、そんなわけでこの問題は無視する)。

国連が話し合いの「場」に過ぎない以上、国連中心外交とはすなわち多国間協調を探る外交スタイルを意味するはずだ。にもかかわらず、日本やドイツ、場合によってはブラジルやらインドやらもが常任理事国となった場合に、安保理のあり方がどう変質するのかという議論をほとんど見ない気がするのだが。

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金貸しがエラい理由

一般的に、金でも家でも、貸してくれる人というのはエラいということになっている。本来、利子さえちゃんと払っていれば我々は立派なお客様のはずであり、銀行にへーこらする必要はないはずだが(住宅ローンなど、銀行の上得意も同然のケースでは流石にへいこらする人は少ないとは思うが)、どうも借りている間は銀行に対する心理的な圧迫感は残る。少なくとも、銀行から担当者が来たら茶にちょっと高い羊羹を添えて出す程度には気を使うのが一般的ではないだろうか(我ながら良く分からない例えだが)。なぜだろうか?

この「金貸しはエラい」という発想は、おそらく色々なところに息づいている。例えば、日本のODAというのは大半が円借款、要は外国政府への貸付な訳だが、これも慈善活動的な意味合いを除けば、日本の外交交渉力を強化するためにやっているはずだ。少なくとも、そういう建前になっている。これも、金を貸している側はなんらかの意味で借り手よりも優位に立っているという(暗黙の)前提があっての話だろう。

しかしよく考えてみると、実は金貸しというのは社会的には弱者である。ステレオタイプの銀行員というのはまぁ頭が高いものなのだとされているが(最近は違うのだろうか)、それでも彼らは本質的には弱者なのだ。だから、金貸しが偉くなったのにはそれなりの理由がある。今日はそんな話から、日本のODA戦略までつながる話を考えてみたい。

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あけましておめでとうございます

このブログも開設してはや半年が過ぎました。半年で約50エントリー、我ながらよく書いたなぁと感心してしまいます。始めた当時は3ヶ月でネタかやる気のどちらかが尽きておしまいになるだろうなと思っていたのですが、週1本のペースだと書くペースよりもネタを思いつく数のほうが多く、結構没ネタが出ているほどです(まぁ、つまらないから没になるわけですが)。「今週のThe Economist」シリーズはそもそもネタ切れ対策として用意したシリーズなのですが、最近出番があまりありません。

ここまでブログを続けることができたのも、多くの方からTBやコメント、リンクを頂いたり、掲示板で言及していただいたおかげです。ポジティブなものにせよ、ネガティブなものにせよ、自分で予想していた以上に刺激になっております。まぁ、さすがに内容のない罵詈雑言の類は凹むのですが、半年でそういうコメントを頂いたことは思い出せる限り一度しかありません。いつも質の高いコメントを下さる皆さんにはもう感謝申し上げるしか。本当にありがとうございます。

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