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人民元切上げのお話

最初は別のエントリーのおまけでちょろっと書くだけにしようと思ったのだが、微妙に長くなったので別エントリーにしてしまうことにした。

基本的には、アジア通貨危機の時も頑固に為替相場を固定し続けてきた中国がとうとう切り上げた、というだけの話で、これ自体は取り立てて重要な話ではない。2%だし。通貨バスケットにしても、過去に固定相場制を敷いていた国では良く採用されていたやり方で、バスケット方式の採用自体はニュースとは言えない。結論に飛んでしまえば、注目すべきなのは今後中国政府がどの程度気合の入った資本規制が出来るかどうかであって、そこ次第で為替相場の読み筋が完全に変わってしまうということにこそ注意すべきだと思うのだが。


円高の理由

まず、ごく基本的なところから。どこで読んだか忘れてしまったのだが、人民元切り下げのニュースと共に円が対ドルで爆騰した理由が分からない、という記事があった。これは簡単といえば簡単な話なのだが、結構大切な要素を含んでいるので、まずこれを説明しておきたい。

人民元、ドル、日本円は切り下げのニュースの直前は大体以下のレートで安定していた。

RMB8.28 = USD1.00 = JPY113

ここで注意して欲しいのは、為替相場はここで2種類の為替レートのバランスを同時に取っているということだ。ひとつは言うまでもなく円ドルレート。そして、ドル=人民元レートを介して、1円=8.28 / 113 という円=人民元レートも存在している。重要なのは、この円=人民元レートは変動相場だということだ。RMB8.28 = JPY113というのは市場の決めた実勢価格なのだ。もちろん、ドル=人民元が固定相場なのでこの実勢レートは日中経済の実態を100%完璧に反映したものでは無いが(日米経済の動向も円=人民元レートに影響を及ぼしてしまう。同時に、日中経済の動向が円ドルレートに影響してしまう、とも言える)、そのような複雑な状況も加味した上での実勢レートがRMB8.28 = JPY113という為替レートだったということだ。

で、今回の人民元の切り下げはあくまでもドルに対してのみ行われるものであって、日中経済には何の関係もない。よって、RMB8.28 = JPY113という為替レートはそのまま維持されなければならない。そこで、

RMB8.11↓ = USD1.00 = JPY111↓

となることで、8.28 : 113 = 8.11 : 111となって、円=人民元のレートは以前と同じ水準に保たれるというわけだ(同様の理由で、中国と関係の深い他のアジア通貨も対ドルで増価している)。厳密には、これによって円ドルのレートも変わってしまうため、円ドルレートの増価幅(数字上は低下)は人民元の切り下げ幅よりも小さくなるはずなのだが、109円くらいまで飛んでしまったのには正直呆れた。君たち慌てすぎ。結局111.3円(NY22日終値)まで戻って来てるし。まぁ、夏休みの金曜日で板薄だったという理由もあったのだろうが。


通貨バスケットの影響

で、同時に発表された通貨バスケットなのだが、要するにドルにだけ固定するのではなく、ドルや円、ユーロなどの平均値に対して固定しましょうという制度のことだ。直感的には分かりづらいが、円高ドル安が進行すると、人民元も円ほどではないがドルに対して緩やかに増価することになる(追記:10番目のコメントに計算方法を載せました)。

で、この通貨バスケットの評価だが、そもそもドル以外の通貨をどの程度加味するかがまだ発表されていないので判断のしようがない。そもそも、公表しないのではないかという疑念もあるのだが。

昔の例で考えると、通貨危機前のタイなども通貨バスケットを取っていたのだが、日本円や欧州の通貨などにはほとんど反応しないような計算式になっており、実質的にただのドルペッグだった。中国にしても、彼らが最も重視しているのはアメリカ市場であり、対ドルの為替リスクを極力減らしておく方が有利だから、似たようなドル偏重型のバスケットを組む可能性は高い

どちらにせよ、通貨バスケットを採用しても固定相場制の在り方自体は何も変わらない。直感的に分かりづらくなるだけのことだ。

ついでに書くと、この通貨バスケットは日本にとってはそれほど良い話とはいえない。人民元が30%だけ日本円に連動するケースとかを考えるのは余りにも複雑なので、人民元が完全に円にペッグするケースで考えよう。「我が愛しのリラ」でも書いたが、固定相場制の下では他国の物価変動が物価変動の影響がダイレクトに波及する。もし中国で急激なインフレが起こったら?中国人は割安な日本の製品に殺到する。その結果、日本製品も値上がりしてしまう(インフレの波及)。デフレについても同じことが言える(追記:この点については3番目と6番目のコメントも参照)。

問題なのは、この場合EUと違って日本には「固定相場制から脱退する」という選択肢がないことだ。何しろ中国が勝手に日本円に連動させているだけなのだから。しかも、中国経済の規模は購買力平価ベースでは既に日本以上。自分よりも図体のでかいコバンザメにベッタリくっつかれながら必死に泳ぐサンマを想像して少し萎えた。

もちろん、円=人民元レートの変動がマイルドになることによるメリット(=為替リスクの減少)もあるわけで、どちらが良いとは一概には言えないが、個人的にはデメリットの方が大きいように思える。


資本規制:中国経済の生命線

実はまっとうな中国の経済政策」と「中国経済の行方」に詳しく書いたのでここでは説明しないが、中国の為替政策を考える上で最も重要なのは、中国政府が国境を越える資金の移動を厳しく制限してきたということだ。

もしこのような資本規制がなかったら、今回の通貨切上げはかなり危険な賭けになったに違いない。なぜなら、既に新聞その他で広く書かれている通り、小幅な切上げは更なる切上げへの思惑を生む。そして、更なる切上げを予想した投資家は我先にドル売り人民元買いの投機的取引に乗り出すことになる。その結果中国の金融市場には資金があふれ、金利が低下する。低金利によって設備投資は拡大し、地価や株価は上昇する。バブルの発生だ。もちろん、最初から大幅に切り上げてしまえばこのような思惑の発生は抑止できるが、代わりに国内経済への深刻な悪影響を覚悟する必要がある。

で、バブルとともに内需が拡大するので、問題だった貿易収支は赤字に転ずる。赤字を抑えるには今度は通貨の切下げが必要になるが、通貨の切下げもまた更なる通貨切下げへの思惑を生み、今度はドル買い人民元売りの投機的取引が盛り上がることになる。いわゆる通貨危機だ。というか、これはタイが10年前に辿った道そのものなのだが。

世界有数の経済規模を持つ国が通貨政策を変更するということは、それによって刺激される思惑の大きさもまた世界有数ということだ。グリーンスパンだって脂汗を流すであろうこのアナウンスを普通のお役所仕事のように淡々と発表できるのは、厳しい資本規制によって大規模なドル売り人民元買いが抑止されているから、というただ一点によるものなのだ。

だから、今後中国政府の課題は、高い利益率(高い経済成長率+人民元切上げ予想)を求めて流入しようとする海外の資金をどれだけブロックできるか、ということになる。もちろん、他国からの政治的プレッシャー(そちらはThinkpadを買ったくせに、俺たちが投資するのは禁止するというのはアンフェアだ、という声は当然上がるだろう)に耐える必要がある。また、他国からの技術導入もある程度あきらめる必要が出てくるだろう。単純なパテントの購入はともかく、無形の生産技術などを導入するには相手国からの出資を受け入れて合弁会社を作るなりするしかない。資金流入と技術導入は不可分なのだ。そのあたりの政治上、ビジネス上のニーズをどれだけ抑えられるかが、今後の中国経済と人民元レートの行方を占う鍵となるのだろう。

各社のアナリストは次回の切上げはいつか、といった不毛な当てっこに興じる前に、最近規制緩和の兆しが見える資本規制の現状と実効力をこそ検証する必要があると思うのだが。


本日のまとめ

人民元の切上げによって中国と関係の深い他国の通貨も同時に対ドルで増加する。

通貨バスケットの採用はそれほど重要な問題ではないし、また評価するには情報不足。ただ、どちらかといえば日本にとって望ましい話ではない(実質ドルペッグのままと予想されるので、大した影響はないだろうが)

今後も固定相場を維持するのであれば、資本規制の堅持が絶対条件になる。ただし、資本規制によって政治上、ビジネス上のデメリットは覚悟せねばならない。


追記:ZAKZAKの記事で「人民元切上げによって元高円安が進み、日本ではインフレになる」という明大の高木勝教授のコメントが出ているのだが、この豪快な寝言っぷりは読者の皆さんにもお分かりいただけると思う。まぁ、突っ込み所は他にも色々あるんですが・・・(この件についてはコメント欄の2番目と5番目を参照)

#7月25日07時17分文章に一部追加(変更の詳細はコメント欄を参照)
#7月25日22時46分文章に一部追加(直前の括弧書き)
#8月03日04時34分文章に一部追加(通貨バスケットの計算法)

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Comments

マーケットの馬車馬様の主だったブログ記事にウェブログ図書館( http://library.jienology.com/ )からリンクを張っています。

Posted by: ウェブログ図書館 館長 | July 23, 2005 at 02:37 PM

高木教授のどこが問題? 前半の「元高円安」か、後半の「日本ではインフレ」か。どっち?

ドル円の関係のみで見ると。。。
ファンダメンタルを無視して、チャートだけから判断すると、ドル高円安という可能性もあります。
一方、ファンダメンタルを考えると、ベースマネーが増加して、(今は過去のものとなった)ソロスチャートの視点から円安という可能性も否定できません。
つまり、実質的に元がドルペッグのままなら、ドル高円安→元高円安となるのでは?

Posted by: 平手 緑 | July 24, 2005 at 12:59 AM

>もし中国で急激なインフレが起こったら?中国人は割安な日本の製品に殺到する。
>その結果、日本製品も値上がりしてしまう(インフレの波及)。
>デフレについても同じことが言える。

こんにちは。

馬車馬さんはEUの通貨同盟に関連しては労働力の移動がないと
インフレ率が収束しないという点をしきりに強調されてたと思います。
(その際は賃金にのみスポットをあてていました)
上の論理だと、EU内ではモノの移動は完全に自由なので中国と日本以上に
インフレやデフレは波及しやすいという事になりませんか?

それに日本では目下の所デフレで困っているのですから、
中国のインフレが少し波及してインフレ傾向にふれる事は特に
問題ないように思われてなりませんが。。

Posted by: のびい | July 24, 2005 at 11:26 PM

館長さん、お知らせいただきありがとうございます。それから収蔵?してくださったことにも感謝です。これはすごいですね!こういうことが出来るのか、という新鮮な驚きを感じました。

図書の分類はある意味ソーシャルブックマークのタグ付けと似た側面があると思いますが、そこで既に確立された分類法を使うということ、記事群という概念の存在など、ブックマークとは全く違うアプローチになっているのも面白いな、と。今後もちょくちょく寄らせていただきます。

Posted by: 馬車馬 | July 25, 2005 at 12:16 AM

平手さん、コメントありがとうございます。

おかしいのは、元の切上げに対して円ドルレートが固定されたままだと(暗黙のうちに)仮定して話が進んでいる点です。本文で書いたとおり、円ドルレートは変動相場制である以上、元の切上げに対して調整されます。その結果、元高ドル安と同時に円高ドル安も進行することは本文で書いたとおりです。

ただし、厳密に考えると、この結果日米経済に何の変化も起こっていないにもかかわらず円ドルレートが変更されることになりますから、理屈の上では、円高ドル安は元高ほどには進行しないと考えられます(この辺りは日米、日中の貿易量に応じて円高幅が決まります)。一方で、切上げが更なる切上げ期待を生む場合には円高ドル安が大きく進行することもあるため、元の切上げによる円=人民元レートへの影響は一概には言えなくなります。最大限高木教授に有利な言い方をするならば、元の切上げほど元高円安は進行しないので影響は限定的、ということになります。

次に、元高円安が大きく進行したと仮定しましょう。結論から書くと元高円安はインフレ圧力を生みます(このとき、中国の物価水準が安定的に推移していると仮定)。これは、中国の製品に比べて日本の製品が割安になり、日本の貿易黒字が拡大するためです。ただし、高木教授は中国からの輸入品価格が上昇してサラリーマンの生活がどうたらと書いているわけですが、これは輸入品の消費額が価格の上昇に対して変化しないことを仮定しているわけで、これも突っ込みどころです。よりにもよって価格の消費額に対する影響(需要の価格弾力性)が大きそうな100円ショップなどを例に出している辺りがまた何とも。家計を圧迫とか言われても、インフレの進行は貿易黒字の増加=生産増=賃金増と連動しますので、何を言ってるんだ、と(良く考えたら、ここが寝言のクライマックスでしたね。円安の効果を輸入品価格への影響という一側面だけで考えていることが最大の問題点です)。

それからベースマネーについてですが(ソロスチャートは懐かしいですね)、すいません、なぜベースマネーが増えるのか良く分かりませんでした。

Posted by: 馬車馬 | July 25, 2005 at 05:43 AM

のびいさん、コメントありがとうございます。

インフレ率の収束の話をしたのは確か「大丈夫か韓国(4)」のコメント欄でしたよね。改めて読んでみると、まずい説明でした。それから、ご指摘の部分も確かにまずい表現で、書いた後で「インフレの影響がダイレクトに波及する」とぼやかしたほうがよかったなぁ、と思っていたところです(面倒なので止めてしまったのですが)。これは次の次のエントリーで整理しようと思っていたのですが、為替制度が問題になるのは物価≒賃金が経済実態に対してあまり変化しない場合に限定されます。もし物価がさっさと調整されるなら、各国の製品(同時に労働力)に対する需要は平準化されますし、そもそも失業が発生すればすぐに賃金と物価が労働需要を刺激する水準まで下がるはずなので、景気の波それ自体が発生しません。当然、金融政策も不要になりますし、固定相場と変動相場の違いも消滅します。

ところが、現実的には賃金の硬直性その他の理由から、イタリアでインフレが進んでもドイツで即座にインフレが進むとは限りません(デフレも同じ)。その結果、イタリアの貿易赤字がどんどん拡大していくことになり、イタリアの失業率は高いまま改善されなくなります。これがインフレの影響がダイレクトに波及する、の意味です(中国でデフレが進んで、一方日本では物価が下がらなかった場合、中国の対日貿易黒字がどんどん増加して日本の失業率が上昇する、というのも同じです)。中長期的には、イタリアのインフレがドイツでもインフレを起こすか、またはイタリアのインフレ率が落ち着いてくる形でインフレ・デフレは波及します。ただし、それまでに時間がかかりすぎる上、その過程での経済的な苦痛が大きすぎるのが問題だということです(というわけで、インフレの波及の程度は各国の物価・賃金の柔軟性に依存する問題で、モノの移動の度合いは問題になりません。モノの移動はどの経済でも完全を仮定しています)。

ただし、これらは全て固定相場制を仮定しての話で、「我が愛しのリラ」で書いたとおり、変動相場制では賃金の代わりに為替レートが変動して全てが丸く収まります。為替レートというクッションが物価変動の(影響の)他国へのダイレクトな波及を防いでいるわけですね。今の日中経済がうまくいっているのもこれが一因と言ってよいと思います。だから、中国が(部分的にせよ)日本円にペッグするのは望ましくない、と書いたわけです。

それから、中国でインフレが進むというのは仮定の話に過ぎず、ざっくり同程度の確率で中国のデフレが日本に波及してくることもありえます。とすれば、平均値のベースでは中国の物価という不確定要素だけが残ることになり、日本にとってはやはり望ましくないと思うわけです。

引用・ご指摘いただいた部分は以上の理解で後で修正するかもしれません。ご指摘ありがとうございました。

Posted by: 馬車馬 | July 25, 2005 at 05:46 AM

ややこしい話になったのは、第1に、私がテクニカル分析とファンダメンタル分析をごっちゃにしたこと、第2に、私が人民元の日本円ペッグを重要視しなかったことにあります。

馬車馬さんのコメント後半部分の通り、確かに高木教授は「痛い」ことを言っています。見落としてました。コメント後半部分は馬車馬さんに全面的に同意します。
また、馬車馬さんのコメント前半部分については、ファンダメンタルをメインとした分析としては私も同意しますし、高木教授がファンダメンタル分析からZAKZAKの記事のようなコメントをしたのなら、私も彼に寝言をほざくな、と言うでしょう。しかし、為替はファンダメンタル分析通りには動かないものです。

私はテクニカル分析原理主義者でして、チャート分析と過去の歴史の2つから未来予想をします。その予想からファンダメンタル予想を後付けします。(とは言いつつも、ファンダメンタルだけの分析も好きです)
今回の場合は、テクニカル分析予想として「デフレ脱却が数ヶ月以内に来る」「ドル高円安(ただし、こちらは弱いサインだが、120円前半へ)」という2つの命題が先にあって、それに合致するファンダメンタル要素を考えたときに、ベースマネー増加があったわけです。(混乱させてすみません)
もっとも、2004/11/15に「デフレは2005年3月までに終焉」というコラムを私は書いたのですが、予想時期は見事に外してしまいました。
しかし、依然としてチャート分析上は、デフレ脱却が数ヶ月以内におきるという予想に矛盾は生じていません。

「ぐっちーさんの金持ちまっしぐら」や、金融機関のレポートを読んでみると、ブラックボックスの管理フロートのようですね。また、今のところ日本円へのペッグは部分的にもしないように見えます。気になるのは、円安ドル高になった時、北京政府が日本円をバスケットに入れるかどうかです。

最後に、馬車馬さんや私が経済的議論をしても、あまり意味がないような気がしてきました。北京政府の考えることは、我々の思考を超越してませんかね。

Posted by: 平手 緑 | July 26, 2005 at 10:50 PM

平手さん、コメントありがとうございます。

為替はファンダメンタルどおりには動かないというのはまったく同感と申しますか、私にも骨身に染みています。特に円ドルはひどいですね。

私もテクニカルは嫌いではありません。何か予想を公表するときには、テクニカルを見ながらタイミングを測るというのは常道だと思います(テクニカルの真逆に張って当てれば大きいですが、外れると馬鹿呼ばわりされるので。評判リスクを無駄にとることになります)。ある意味、超短期の予想にテクニカルを、中長期にファンダメンタルを使っているとも言えます。その割に実践しているアナリストは少ない気がしますが(最近どうかは知りませんが)。

ただし、私はチャートよりも大手業者・投資家のポジション情報の方を重視しますね。チャートもそれを類推できるような単純なもの(ダブルボトムみたいな)は見ますが、一目などは宗教色が強すぎるので話のネタ程度にしか見ません。

変動幅が設定されたので管理フロート、という見方もあるようですが、実勢レートがバンドの外にあった場合は変動幅は無意味になりますので、これは一般的な固定相場制の範疇です(通貨危機前のタイなども同様のバンドがあったはず)。ただし、理論上は「政府は為替レートを調整できる」ことを市場が知っているという点で固定相場制とは言い切れません(この場合、統一通貨だけが完全な固定相場となります)。

中国ですが、私は意外とまともな思考をしていると思います。少なくとも、経済政策については(政治軍事は別です)。「意外とまっとうな中国の経済政策」にそのあたりのことは書きましたし、昔スティグリッツも「IMFのエコノミストよりも中国のPhD持ちの官僚の方が優秀」とか書いてましたね。

Posted by: 馬車馬 | July 31, 2005 at 01:24 AM

すいません。基本的な質問で申し訳ないのですが、
通貨バスケット制というのは、例えば今回の中国の例でいえば、
(a+b+c)*X[元/ドル]
=a*A[ユーロ/ドル]*x[元/ユーロ]
+b*B[円/ドル]*y[元/円]
+c*X[元/ドル]
のような式で元/ドル相場を決定することで、
このうちa,b,cが中国政府が決定する値、x,yが定数(固定相場)ということでしょうか。

Posted by: Mufj | July 31, 2005 at 09:33 AM

Mufjさん、コメントありがとうございます。リプライが遅れてごめんなさい。

a*(RMB/EUR)
+b*(RMB/JPY)
+c*(RMB/USD)
=X

が成立するように為替相場を誘導する、ということだと思います。Mufjさんの式も整理すればこの式に近くなると思いますが。ここでa,b,cは各通貨のウェイト(中国中銀が決定、定数だが変更されることも多い)、Xは何らかの定数(ただし、国内外の物価水準に対して修正されることも多い)です。括弧内は為替レートであり、当然変数です。この式をRMB/USDについて解くことで、

(RMB/USD)=X/(a(USD/EUR)+b(USD/JPY)+c)

が得られます。後は、ユーロドルとドル円相場の変化に応じて、ターゲットとなるドル=人民元レートをこの式の示す通りに変更していけばいいわけです。この変更をどの程度の頻度でやるのかはよく分かりません。毎日変更という国もあったみたいですが。

探したらこちらのサイトの方が詳しく載っていたので以下のリンクもあわせてご覧ください。

http://www.mof.go.jp/singikai/kokusaika/siryou/a121128b.htm

Posted by: 馬車馬 | August 03, 2005 at 02:58 AM

ちょっと話がそれますが、日本の選挙からちょうど一週間後にドイツで選挙があります。直前になって野党CDUの支持率が低下してきて、劇的な幕切れ(SPDとの大連立)の可能性が出てきたようです。
CDUは、失業保険の負担を減らす代わりに、消費税上げをするという計画を表明したため、これが嫌気されたのかもしれません。

ドイツの最大の問題は失業です。本当は、とても常任理事国どころではない状況と言えます。ベルリンで19%にも上るらしいです、これを解決するために雇用を促進するという意図でそういった公約が出されたのでしょうが、消費税を上げれば内需に水を差すことになります。ドイツはかなり外需依存の経済であることには違いありませんが。

しかし、根底には為替の問題があるように思います。EUと中国との間で繊維問題については妥協が図られましたが、根本的にはどうして人民元が安すぎて、ユーロが高すぎるのです。このへんで産業分野が似通っているイタリアなどがまず大打撃を受けていますが、自動車でもそういった事は起こっています。具体的には韓国車が欧州市場で大躍進しています。最近ついに中国車も登場しました。品質については私はよく知らないのでコメントのしようがありませんが、欧州車に比べて価格の面で比較になりません。

日本の場合はプラザ合意で円が急に上がりました。
為替というものは純粋に経済的要因ではなかなか変わらないものの
ようですね。

中国側の立場として人民元を変動相場制にしたくないというのはわかるとして、人民元を自由化したら米国債が売られるために米国も困るということでしょうか。
通貨バスケットにペッグするだけでは、中国の経済発展や黒字の拡大を反映しているわけでないので、根本的には全然意味がないと思いますが。。。

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