郵貯:改革の理由(4) そして、改革のススメ
やはり週刊ペースで書き進むというのは今の筆者にはなかなか難しく、とうとう選挙直前になってしまったのだが、何とか書き進んでしまいたい。
まず第1回で、郵便事業は一般論としては民営化するのが望ましい、と書いた。また、一般的に語る以外に議論のすべがない事も書いた。水掛け論が見えている議論をするのは時間の無駄だからだ。
次に第2回で、郵貯の資金の出口の親方日の丸っぷりを書いた。そして、早急に郵貯の収益戦略を練り直さない限り、郵貯は黒字を維持する事すら難しくなる可能性について書いた(また、郵貯からの利益に全面的に依存している郵政公社にとって、この問題は致命的になる)。
第3回で、郵貯の資金の入り口、定額貯金の問題を書いた。定額貯金というのは本来銀行には手におえない複雑なデリバティブ商品であること(だからこそ、都銀で定額貯金を採用した銀行は無い)、そして、その複雑さに見合うだけの手数料(それはつまり、定額貯金の金利を引き下げるということ)を得ていないということを説明した。
郵貯:改革の理由(3) 世界最大のデタラメ商品
第1回で「没フォルダにネタを腐らせている」と書いたが、それが今回のネタである。このネタ自体は数年前から書いてみたいとは思っていた。ただネタの性質が極めてテクニカルで、直感的に分かりづらいので書くのをためらっていたのだが、いい機会なので何とか分かりやすく書いてみる事にしたい。
で、このデタラメ商品だが、郵貯の定額貯金のことだ。2005年3月末で残高143.2兆円。ちゃんと調べたわけではないが、単体の預金商品としてはほぼ間違いなく世界最大だろう。ハッキリ言うなら、こんな商品を大々的に販売している(預金というのは、銀行にとって「預金証書」を売る代わりに現金を受け取るという商売になる)というただ一点だけでも郵貯を改革すべき理由としては十分だ。
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