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今週のThe Economist:日はまた昇る

原題:A survey of Japan: The sun also rises (October 8th, 2005)


本当は靖国カードの話の代わりにこの話を書くつもりだったのだが、すっかり遅くなってしまった。この特集はEconomist誌が月に1度くらいやっている各国特集のひとつで、15ページほど使って政治経済外交の諸問題を解説する、という趣旨になっている。「靖国カードが消える日」で紹介した記事は、この特集の一部分だ。

特集の本題はもちろん靖国ではなく、日本が長い低迷から復活したのかどうか、政経両面から概観している。以下、特集の内容を簡単に紹介してみたい。


日本の「見えない革命」

The Economistが(というか、著者のビル・エモットが)この特集で再三にわたって強調するのは、過去15年間ただひたすらに停滞していたような日本では、実はゆっくり、しかし着実に改革が進んでいたのだということだ。例えば、サッチャー流のショック療法とは対照的に、日本企業は終身雇用を結局放棄しなかった。その結果、失業率が大きく跳ね上がることもなく、日本社会は長い不況にもかかわらず海外では考えられないほど安定していた。

しかし、その一方でパートタイム雇用を活用したこと等によって、企業売上に占める人件費の割合は1998年の73%から2004年には64%にまで低下した。もちろん、賃金をカットすればそれだけ消費も減るわけで、こういうやり方での収益改善は長続きしないのが普通だが、アメリカと中国への輸出が2002年以降急増したことは日本にとって幸運だった。2001~03年にかけて、日本の民間消費はほとんどゼロ成長だったのに対し、貿易黒字は倍以上になっている。もしこの貿易黒字がなければ、2002~03年の経済成長率はほとんどゼロになっていた計算だ。

こうなると「結局外需に頼っているだけで、本当の経済成長とは言えない」という結論になりそうだが、しかし、とEconomist誌は続ける。今年度に入ってからフルタイム雇用は増加に転じ(一方でパートタイム雇用は減少に転じた。つまり、パートタイム雇用がフルタイム契約に切り替わった可能性が高い)、賃金は98年以来の高い伸びを記録し、ボーナスも再び支払われるようになった。まだ結論を出すのは時期尚早だが、どうやら日本経済は過剰な負債、過剰な生産力、過剰な労働力をほぼ整理し終わって、徐々に成長軌道へと復帰しそうだ、と結論している。

2ページ足らずの記事の中でgradualとかstep by stepといった言葉が恐らく20回くらいは登場する辺り、著者のメッセージは明確だ。15年もかけた緩やかな改革は、「偉そうな」外人と「謙虚な」日本のアナリストたち(rude foreign lecturers or polite Japanese)が推奨したドラスティックなやり方からは程遠かったわけで、その間日本社会、特に田舎は(日本の基準で言えば)ひどく荒廃してしまった。しかし、それでも海外に比べれば日本社会は依然として安定しており、過去15年間少しずつ進行し、今も進んでいる「ステルス革命」は日本の政治やビジネスを大きく変革したのだ、とEconomist誌は主張している。


銀行の復活

細かい部分で色々疑問はあるものの、筆者も大枠の議論はこんなものなのかな、と思っている。付け加えるならば(Economist誌でも触れられているが)、やはり銀行の復活は無視するわけにはいかないだろう。「大臣竹中平蔵氏の成功と失敗」でも書いたが、この5年間で銀行の不良債権問題は解決のめどがついた。実は、昨年の時点では、筆者は銀行がその機能を回復するまでにはそれでもまだ時間がかかると思っていた。自己資本に占める公的資金の割合がまだ大きかったのと、繰延税金資産によって自己資本比率が嵩上げされていた(詳しくはこちらこちらを参照)のを問題視していたからだ。しかし、繰延税金資産は来年度から自己資本への参入制限がかかることが決まっており、それでも公的資金返済の動きが途切れない(あのダメ銀行りそなですら返済が検討されている)ということ、銀行貸出がようやく増加に転じたということは、銀行機能はここからは回復に向かうと考えていいように思う(先日関係者と飲んだ時に聞いた話だと、貸出技術それ自体もここ数年で急速に進歩しているらしい)。

それを考えると、小泉政権は「改革改革と声だけ大きい」と揶揄される(少し前のEconomist誌でもそういう指摘があった)にもかかわらず、ちゃんと実績を上げていると言って良いと思う。

蛇足だが、実はいわゆる量的緩和派の方々(日銀が当座預金残高を増やしたり、国債の買いオペをしたりすればそれだけで景気は回復すると主張する人たち)の間では、この銀行改革は余り評判が良くなかったようだ。銀行改革よりも景気回復を優先させるべきだ、というのがその理由なのだが、この主張を理論的に正当化するのは実は結構難しい。この主張の背景には、「銀行が機能不全に陥っていたとしても、金融政策は効果を持つし景気は回復しうる」という理解がある。しかし筆者の知る限りでは、これに類する主張をしているのはクルーグマン教授(16~19ページ)くらいで、上の主張はこのクルーグマン教授の主張に基づいて出てきたものであるらしい。筆者はこのクルーグマン教授の考え方は2つの理由からおかしいと思うのだが、それについては昔書いた(こちらとそのコメント欄参照)ので、ここでは繰り返さない。


「節度ある」景気予想の仕方

というわけで、10年をかけた労働・金融システムの改革と、その他細かい政治経済改革の積み重ねのおかげで、日本は再び復活の時を迎えそうですね、というのがEconomist誌の趣旨な訳だが、筆者が一番感心したのは短期予測に対する慎重な態度だ。曰く、『短期予測は慎重にやるべきだ。確かに、次はどこの景気が悪化するかとおびえ、改革も回復も望み薄なかつての経済大国ドイツに落胆させられ続けている世界各国にとって、日本の目先の景気動向は重要な問題だ。しかし、一見日本の状況が改善されたように見えたとしても、それはなんらかの外的なショックや、予想しようのない景気の反転などがあれば霧消してしまうものだ。経済的にも、政治的にも、むしろ長期予測こそがずっと重要なのだ』。

一応景気予想にも携わったものとして、この文章には全面的に賛成なのだが、この示唆の真逆を突っ走る方がいる。我らが日本銀行総裁、福井俊彦氏だ。詳しくは本石町日記氏やどらめもん氏(11月1日)のサマリーを参照していただきたいのだが、最近の日銀の景気に対する強気っぷりは相当なもので、2006年度に入ったら利上げもありうる、と書くだけでなく、利上げ後の話にまで言及している。いや、はしゃぎすぎ。短期予想が水物だって事を日本の誰よりも骨身にしみて理解しているのはあなた方でしょうが。

各種統計が日本の景気回復を示唆しているのは分かる。だが、「ニッポンの統計(3)」でも書いたが、GDPの四半期速報(QE)は当てにならないし、他の統計だって多かれ少なかれ誤差はある。日銀が景気予想に当たってこれらの統計の誤差を取り除くべくかなり細かい修正作業を行っていることは良く知っているが、そんなんで除去できる誤差など高が知れていることも、担当者は良く分かっているはずだ。

もちろん、日銀は強気一辺倒で突き進んでいる訳ではない。この展望レポートでも、文章の各所に景気が再度落ち込むリスクに言及があるし。しかし、いくら慎重に景気予想を語ったところで、強気なメインシナリオを設定して『今回の展望レポートの経済・物価見通しが実現することを前提とすると、現在の金融政策の枠組みを変更する可能性は、2006年度にかけて高まっていくとみられる』とまとめてしまっては全てが台無しだ。両論併記にしとこうよ。この日銀の賭けが吉と出るか凶と出るのかは分からないが、賭けになってしまっている段階で日銀は負けていると言うべきだろう。


ところで、Economist誌の特集に戻ると、この一部が読売新聞に翻訳されていた。おかげで一部英語で読まずにすんだのだが、一箇所引っかかったのが「どんどん成長する中国をウサギとするなら、ゆっくりと着実に改革を進める日本は亀のようなものだ。日本の寓話では、最後は亀が勝つことになっている。そして、亀は潜在力の象徴でもある」といった文章で〆られていたこと。亀は長寿の象徴じゃなかったっけ?と思って原文をあたると、”In Japanese fables tortoises do win races, but they are also something else: they are symbols of potency.”となっている。ああ、potencyですか。これ、明らかに誤訳なのだが、わざと誤訳したのか、それとも素で間違ったのか、ちょっと興味のあるところだ。


本日のまとめ

日本はドラスティックな改革の手法を取らず、10年超に及ぶ長い不況に耐えながら、少しずつしかし着実に改革を進めてきた。

まだ改革は道半ばではあるが、既に政治経済両方にかなりの変化をもたらしている。特に、労働市場と金融システムの改革は大きく進んだ。

ただし、Economist誌はこれらの改革によって長期的には日本は復活へと導かれるが、短期予想には慎重であるべきとしている。

一方、その短期予想に対する慎重さに欠けるのが今の日銀ではないか。


追記:微妙に来週に続きます。

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Comments

はじめて書き込みます。いつも興味深い分析ありがとうございます。
今回の特集、日本に住む人間として違和感はないのですが、でも。3年くらい前は能面が涙を流す写真を表紙として、5年くらい前、滝に落ちる寸前のところでのんびり釣りをする小舟を描いた日本画もどきを表紙として、日本特集を行った雑誌であることを鮮明に覚えている(馬車馬様も覚えておられるでしょう)私としては、ふ、結局は単なる現状追認じゃない、意外と読者に媚びる雑誌だったのね、と斜に構えてしまいます。日はまた沈むを書いた切れ者ならばそんなことは百も承知の筈、それを私のような凡夫が批判するのは畏れ多いのですが。

Posted by: forsterstrasse | November 06, 2005 at 09:51 PM

馬車馬さん、こんにちは。
我らが日銀、解除したいから強気のシナリオにした、というわけではないことを祈りたいです。本石町周辺の笑えない笑い話として「金融政策は短期循環の遅行指標」というものがあります。5年前の解除失敗などその典型例で、今度もそうなるのじゃないかと、最近の賭けに似た振る舞いを見せる日銀には心配です。私が心配しても当の日銀には迷惑かもしれませんが(笑)。

Posted by: 本石町日記 | November 08, 2005 at 12:22 AM

お久しぶりです。

クルーグマンはじめいわゆるリフレ派の主張のポイントは、インフレ期待を醸成することでデフレ脱却を図り、持続的な名目成長を果たそう、というものですよ。当座預金残高の積み上げや国債の買いオペはそのための手段に過ぎません(し、「それだけで景気回復する」なんて誰も言ってないんじゃないかと思います)。

そして、デフレ脱却に際し、インフレ期待に力点を置き、民間銀行の貸出経路を(順序として)それほど重視しない経済学者は、クルーグマン以外にも沢山いるのはご存知かと思います(例えばバーナンキやスヴェンソン)。

むしろ、貸出経路の回復がデフレ脱却の最重要かつ最優先の課題である、としている経済学者は(日本国内を除けば)ほとんどいないんじゃないでしょうか?例えばスティグリッツは貸出経路を非常に重視していますが、インフレ目標政策に賛成しており、また不況下での金融部門のリストラには反対の立場でしたよね。

デフレから脱却できれば銀行の貸出は自然と回復するし、それにつれ民間銀行部門も健全になっていくわけです。「企業が苦境に陥れば不良債権が増大する。ある金融機関が十件の貸し出しを見直せば、不良債権が五件増えるという具合に、際限のない抗争のような状態になる。その果てにリストラがまだまだ徹底していないとの批判を受けることになるが、そもそも不況下では十分には実行し得ないのだ。」これは2002年のスティグリッツの発言です。

いわゆるリフレ派の主張の最大のポイントである期待の経路を無視してしまったら、量的緩和には大した効果がないのはご指摘の通りです。日銀は自ら定めた非公式ルール(長期国債保有額を日銀券の流通残高以下に抑える、という例のアレ)に縛られているわけですけど、馬車馬さんがこの期待の経路についてあまり触れないのはちょっと不思議に思います。

ところで、日銀の景況感については僕もとても心配しています。リフレ派も、リフレ政策に反対する方も、共に日銀に対し批判的になっている状況は非常に興味深いですね。ではでは。

Posted by: svnseeds | November 08, 2005 at 08:47 PM

forsterstrasseさん、コメントありがとうございます。

5年前の記事は覚えていないのですが(お恥ずかしい)、3年前のは私の周りでも結構話題になりました。今調べてみたら、www.economist.comの左上からJapanを選んで一番下に当時の特集が残っていますね。「日本には改革は不可能だ」と断言していらっしゃいます。いや、鼻息の荒い事で。

正直、読んでいるときに"rude foreign lecturers"っておまえのことちゃうんかと突っ込みましたけど。まぁ、欧米ではまだ日本の復活は既定事実にはなっていなかったようですし、ぎりぎりセーフと思うのは甘いんでしょうか。それと、改革の成果が出てきたのが小泉内閣になってからだったというのも理由の一つではあるのでしょうね(本来、小泉内閣それ自体が自民党内の改革の結果として誕生したものですが)。

それと、イギリス流の改革路線に大陸諸国が誰一人として追随してこなかったので、結構孤立感があったのかもしれないですね、イギリスは。結局ドイツもぎりぎりでぽしゃっちゃいましたし・・・。

Posted by: 馬車馬 | November 09, 2005 at 12:29 AM

本石町日記さん、コメントありがとうございます。

コメントを拝見していて、昔書いた「経済学を学ぶ意味:証券アナリストの働き方」(04年7月15日)を思い出しました。なんだか微妙にはまっていると思うのですがいかがでしょうか。

それにしても、景気予想と政策決定の因果関係が逆転していたら、世の中のありとあらゆる金融政策の理論が崩壊しそうですねー。ある意味、その時こそ日銀は海外の「煩い」経済学者たちを超越するのかもしれません。斜め上に、ですけど。

Posted by: 馬車馬 | November 09, 2005 at 12:33 AM

svnseedsさん、どうもお久しぶりです。コメントありがとうございます。svnseedsさんのブログは欠かさず拝見しているのですが、最近どたばたしていてすっかりご無沙汰になってしまいました。

ご指摘頂いた点なのですが、ちょっと首肯しかねる点がありますので質問させてください。バーナンキやスヴェンソンの議論において銀行の機能不全が致命的な問題にならないのはそのとおりだと思いますが、これらの主張はsvnseedsさんの主張とは異なりますよね?私はsvnseedsさんが円安にコミットするために固定相場制を敷け、とか、日銀または政府が今すぐ大財政支出を行うべきだ(そのファイナンスは国債引受)、といった主張をされているのを見たことがないのですが・・・。

第2段落を拝見する限り、svnseedsさんのお考えはクルーグマンのそれに一番近いと思ったのですがいかがでしょう。

これは去年の年末に書いたエントリーと同じ話なのですが、バーナンキ、スヴェンソン、クルーグマンの議論はそれぞれ別のものであり、それを「リフレ派」という定義のあいまいな枠でひとくくりにしてしまうのはいかがなものでしょうか。こうすることによって、私のクルーグマンへの批判を、別のモデルであるスヴェンソンらのモデルで受け止める、という論点ずらし(きつい言い方で申し訳ありません。別の言葉が思い浮かびませんで・・・)が可能になっている、とは言えないでしょうか。

例えば、誰かがスヴェンソンの議論に対して「円安誘導なんて政治的に無理」と批判した時に、「そんなあなたにクルーグマンですよ」と返すことが出来るのは、我々がスヴェンソンの意見に反対でクルーグマンの意見に賛成な時だけですよね。もし「私はリフレ派すべての議論を肯定します」ということであれば、スヴェンソンへの批判に自分なりに向き合う必要があるのだと思います。

結局、「リフレ派」の定義を幅広くとることによって、個々の反論に対して都合のよいモデルの都合のよい部分だけをつまみ食いして再反論する、ということが可能になってしまっているように思えるのですが(私は「リフレ派」の主張を網羅しているわけではないので、この話を特に一般化するつもりはないのですが。あくまでも可能性の指摘ということで)。

スティグリッツの引用部分についてはそれはそれで良く分かるのですが、銀行機能の回復が景気回復の必要条件である場合(十分条件だとは全く思いません。また、私は上の議論で必要条件ではないという議論を否定したに過ぎず、より積極的にクルーグマンのアイデアに批判を加えるには、必要条件であることを証明する必要がありそうですが。でもこの辺は仮定の置き方ひとつですから、難しそうですねー)、この議論にはあまり意味がありませんよね。それに、彼が指摘するリストラのネガティブな効果を緩和するために公的資金の注入があったとも言えるわけで、この引用で政府の不良債権処理策に対するカウンターになるとはちょっと思えないのですが・・・。

ついでに書くと、バーナンキやスヴェンソンのモデルでも銀行が機能不全に陥ったときに政策効果にネガティブな影響が出ることは否定してないですよね。

期待の話にあまり触れないのは、そのうちがっつりとインフレターゲットとコミットメントについてのエントリーを書きたいと思っていたからでして・・・。でもいざ書き出そうかと思うとついつい面倒くさくなり、なんかおいしい時事ネタが出てきてしまったりして、1年近く棚上げとなっている次第であります。本当はそこでクルーグマンとバーナンキ・スヴェンソンの考え方の決定的違い(どこが決定的かは主観的な問題にすぎませんが)とかも書こうと思っていたのですが・・・そういえばすっかり忘れてましたよ。

日銀は・・・とりあえず、コウモリが両サイドから非難を浴びるのは当然だと思います。彼らの景況感は・・・ええ、ただただ心配です。景気の先行きに特に悲観的なわけではないのですが、何よりも残り少ない種銭を握り締めて、目を血走らせながらルーレットを見つめる彼らの姿勢が不安です。

Posted by: 馬車馬 | November 09, 2005 at 01:19 AM

svnseedsさん:

第1段落について書くのを忘れていましたので追記。一応クルーグマンのJapan's trap他は読みましたが、そこで「クルーグマンはじめリフレ派」って言ってよいものでしょうか。昨年議論させていただいた感触だと、Bewaadさんの意見とクルーグマンのモデルって結構違いますよね。

当座預金が、という部分は、数年前「金利がゼロなんだから量を増やせば更に緩和できる!だから今当座預金を増やせ!国債を買え!」という頭の痛くなるような暴論がまかり通っており、それに対して上司同僚に反論しまくったもののとうとう容れられることがなかった怨念が書かせた台詞だとご理解ください(笑)。一応今の「リフレ派」の議論が期待の役割に注目していることは理解しているつもりです。ただ、昔svnseedsさんの所でもコメントしたと思いますが、期待の処理が安易に過ぎるとは思っていますが。

ただ、昔あの暴論をしゃべっていた人たちは今どこへ言ったんでしょうか・・・日銀も今の「量的緩和策」に総括を求められていると思いますが、日銀に量的緩和を迫ったエコノミストその他も本当は総括した方がいいとは思うんですよね。もちろん、証券エコノミストたるもの、捕まって総括を迫られるような逃げ足の遅さを晒せば、早晩淘汰されるとは思いますが。

Posted by: 馬車馬 | November 09, 2005 at 09:15 AM

馬車馬さん、こんにちは。
>コウモリが両サイドから非難を浴びる
日銀はまさにそうですね。ふと思ったのですが、両サイドを右翼・左翼とした場合、私や馬車馬さんはどちらで、リフレ派の方々はどちらなのでしょうね。ハト・タカのようにすっきり分けられない面もありまして。日銀が信じてもいない量的緩和をやっているのが、両翼から非難される原因なんですが。強いて言うと私はタカ=右ですかね(笑)。

>残り少ない種銭を握り締めて、目を血走らせながらルーレットを見つめる
 そうしないと解除できないのが日銀ではないかと思ったりします。

Posted by: 本石町日記 | November 13, 2005 at 11:10 PM

どうもです。返事遅れてすみません。こちらもどうもばたばたしており・・・忙しいのは嫌ですねえ。

なんだか昨年(今年前半でしたっけ?)に議論させていただいた際と同じような道筋になりそうですが、馬車馬さんが疑問に思っておられる点がようやくなんとなくわかってきたような気がしますので、懲りずに書いてみます。

(ちなみに、僕もあれ以来色々学ぶところがありまして、今ではマネーサプライの増加はデフレ脱却に際し先行するべきとは考えていません。デフレ期待の払拭により企業や家計に溜め込まれたキャッシュが出回ることがまず何より重要と考えています。)

まず、まさに以前の議論のポイントであったと思われる「リフレ派」の定義ですが、馬車馬さんのおっしゃるとおり、これはかなり幅が広いのが事実だと僕は思っています。今まであれこれ読んできた中での最大公約数的なものとして、「リフレ派」は以下のように定義されると僕は考えています(もちろん、これはあくまで僕の意見です);

・日本の景気回復にはデフレからの脱却が最優先課題
・そのためには金融政策が中心的な役割を果たすことができる
・具体的には、主に中央銀行による期待インフレ率への働きかけにより期待インフレ率(または期待物価水準)を上げ、実質金利を下げること及び企業・家計のバランスシートの改善予測を通じて投資及び需要を喚起することが必要
・一方、諸々の「構造」改革や金融セクターの健全性の回復がなくともデフレからの脱却は可能
・ただし、上記のことは財政政策の重要性や「構造」改革や金融セクターの健全性の回復が必要であることを否定するものではない

これらのことは、日本の岩田規久男を筆頭とするいわゆる「リフレ派」と同様、クルーグマン、スヴェンソン、バーナンキ、スティグリッツ等々、にも共通に理解され且つ主張されているポイントだと僕は理解しています。

つまり、重要なのは「構造」改革や金融セクターの健全性の回復がなくとも中央銀行(と政府)次第でデフレからの脱却は可能であることであり、岩田規久男やクルーグマンやバーナンキの「インフレ目標(または物価水準目標)にコミットして長期国債買い切り増額」も、スヴェンソンの「物価目標水準経路を示し為替ペッグ、その後インフレ目標に切り替え」も、スティグリッツの「政府紙幣発行してヘリコプターマネー」も、それを示すための具体的な政策案に過ぎない、と僕は考えています。

例えばスヴェンソンの2005年の論文のアブスト(http://www.princeton.edu/~svensson/papers/Tokyo509abs.htm)を読めば、彼が期待の経路を重視し、中央銀行が主体的に動かない場合ですらデフレ脱却が可能であるという「Foolproof Way」を提案していることがわかりますし、(インフレ目標政策に賛成している)スティグリッツが政府紙幣案に言及したのも同様に中央銀行抜きでもデフレ脱却の道がある例として挙げただけでしょう。

また、バーナンキの金利スワップ案は中央銀行のバランスシートが心配な向きに対するひとつのアイデアですし、クルーグマンのIt's Baaack論文もIS/LMを使わず流動性の罠を説明するための(かなりトリッキーな)方便だと僕はとらえています(クルーグマンが同論文で凝り過ぎたというのは、山形さん他かなり多数の人が指摘してますね)。

ですので、論点をずらしているつもりは全然ないんですが(そしてたぶんこの点が一番お互い納得の行かないポイントなんでしょうが)、いわゆる「リフレ派」の政策提案について反論したい場合は、クルーグマンやスヴェンソンや諸々のモデルについて個々に反論してもあんまり意味がない、と僕は考えています。

そうではなく、期待インフレ率のコントロールによって予想実質金利が変化しそれが為替や株価等のチャネルを通じて投資や需要に影響すること、そしてそれは主に金融政策によって達成し得ることで「構造」改革や金融セクターの健全性の回復がなくとも可能であること、という(厳密にモデル化されていないという意味において大雑把な)論点についてダイレクトに反論がない限り、リフレ政策への有効な反駁にはならないと思うのです。

そして、理論に厳密なモデルが存在しないことは政策実行の障害とはならない点(そもそも厳密にマネーを組み込んだモデルは未だ存在しないですし)、期待への働きかけが株価や為替等に影響するのは明らかな点(例として昨日の小泉首相の量的緩和解除への牽制的な発言による大幅な円安の進行等)、及び大恐慌(及び昭和恐慌)時代の計量的分析(銀行貸出やマネーサプライの増加は景気回復に遅行する)等から、この大雑把な論点について反駁することはかなり難しいのではないか、というのが僕の考えです。

と、なんだかあまり歩み寄りのない議論ですみません。とりあえずお互いの立場が明らかになった方が今後生産的な議論ができるのでないか、と思いつらつら書いてみました。馬車馬さんのインフレターゲットとコミットメントについてのがっつりとしたエントリーを期待しております。長文失礼いたしました。ではでは。

追伸:
銀行セクターが回復したとなると、いよいよ量的緩和によるマネタリーベースの増加がマネーサプライの増加へと通じるチャネルの障害が無くなったと考えられるわけで、つまり一部論者による現行の量的緩和はマネーサプライを増やさないので無効である、とする論は成り立たなくなりつつあるわけですよね。すると、今の時点での日銀の量的緩和解除に向けた動きはますます不可解と言わざるを得ないように思います。

それと、同様に銀行セクターの回復を受けての素直な疑問なのですが、馬車馬さんは、景気回復(もしくはデフレ脱却)の十分条件は何だとお考えでしょうか?

Posted by: svnseeds | November 15, 2005 at 11:36 PM

すみません。素人なので経済学的な細かい点はよくわからないのですが、

1。 小泉内閣以前に行われていた公共事業を中心とした景気対策は、金融システムの不全のために効果を発揮することができなかった。

2。 現在、銀行セクターの回復を受けて、景気対策を行った場合には以前と違い、効果が期待できるので、財政再建よりそちらを優先すべき。

という風に大筋解釈してよろしいでしょうか。
だとすると、消費税上げなどというのはすべきではないという事になりますね。

Posted by: のびい | November 19, 2005 at 06:07 AM

本石町日記さん、コメントありがとうございます。リプライが遅れてごめんなさい。

確かに、hawkishという語感がイマイチぴんと来ませんね、現状の場合。ただ、何よりもコウモリ日銀を中道と捉えることに違和感がありまくるような気もします(笑)。

しかし、日銀も相場を読むという意味では(自分の取るリスクをコントロールする必要があるという意味でも)ギャンブラーであるわけですが、目を血走らせてルーレット睨んでる段階でギャンブラーとしてはプロじゃないよなぁ、と。プロたるもの、下り時と賭け時の区別はいつも冷静に見極めないと、と思うわけです。

Posted by: 馬車馬 | November 19, 2005 at 09:02 AM

svnseedsさん、コメントありがとうございます。こちらこそリプライが遅れてごめんなさい。こういう濃い話は毎日やると疲れるので(笑)、ゆっくり行きましょう。

リフレの定義についてなのですが、2点目の「中心的な役割」というのはどういう意味なのでしょうか。去年「蛇足として」を書いたときに、中心的というのは十分条件というニュアンスだと理解していたのですが、コメント欄で「当然に必要条件と考えるべき」という指摘を受けまして、そうなの?と思ったのを思い出しました。必要条件だけを語るのでは足りないんじゃないかと思いますし、クルーグマンその他のお歴々もそういうモデルを作ってますよね。

5点目に付いても同様で、財政政策や構造改革、金融改革が必要条件だという意味でしょうか?この辺りはお歴々の見解が分かれているところだと思うのですが(特に財政政策。クルーグマンは財政政策の意義を否定していませんが、必要条件とはしてませんよね。一方でバーナンキの背理法ではもろに必要条件です。一方で、私が昔書いたとおり、銀行改革はクルーグマンの議論において必要条件となっている気がします。もし銀行が機能しなければ、将来の均衡マネーサプライの増加にコミットできませんよね)。この辺りを明確にしないと、『つまり、重要なのは・・・』以下の文章が曖昧になる気がします。

スヴェンソンのペーパーの紹介ありがとうございます。基本的には金融研究のアレと同じ話みたいですね。ちなみに、クルーグマンの「凝り過ぎ」というのはどの辺りの話なんでしょうか?

そして、svnseedsさんが予想しておられるとおり、個々のモデルに反論しても意味がない、というのは全く納得できません。「金融政策においては期待インフレ率が重要」というのはリフレがどうこう以前に入門書に必ず書いてある常識に過ぎず、それ自体は政策提案でもなんでもありません。いわゆる「リフレ派」の人の政策提案は個々のモデルに依存しているのではないのでしょうか?そうでなければ、インフレターゲットの話なんか不可能ですよね。政策提案を一切せず、ただ「デフレ放置は良くない」「期待インフレ率をもっと重視せよ」という主張であるならば、確かに個別のモデルの検討は不要だと思いますが。

そうではなく~で始まる段落についても、期待インフレ率のコントロールが出来なければ無意味な議論であり、その操作可能性は個々のモデルでの論証に強く依存しています。そして、後で述べますがこの操作可能性を安直に仮定することは許されないと思います(許されるならば、クルーグマンもスヴェンソンも論文を書こうとは思わなかったでしょう)。そうである以上、我々は個々のモデルの説得力について無関心ではいられませんし、そして彼らが下敷きにした前提条件がどれだけ現実的であるかを問うていかなければならないのだと思います。前提条件に対して無自覚な議論は無意味です。

そして、「大雑把な論点」の実効性を証明するのに過去の経験を用いるのも違和感が大きいです。そのスタンスであれば、リカードの等価定理(中立命題)は否定されますよね。実証で中立命題が示された例は極めて少ない(ゼロ?)はずですから(レーガンの時代ですら等価定理は成立していなかった、という研究がブランシャールのテキストで紹介されていました。確か)。であれば、入門書の後ろの方で書いてある通り、「流動性のわなには財政政策で対処し、金融政策は無視」という「非リフレ政策」が(svnseedsさんにとって)もっとも説得力のある政策になるのではないでしょうか?合理的期待形成を仮定しないのであれば、クルーグマンやバーナンキ、スヴェンソンの名前を出す必要はないと思います。言うまでもなく、インフレターゲットも無意味です。

念のために書きますが、政策論に際して合理的期待形成を仮定する必要は必ずしもないと思います。現実に当てはまらないことも多いですし。ですが、議論に際して「自分が世界・経済をどう見ているのか」について、consistentな仮定を持つことは必須ではないでしょうか。そうでないと、やはり「つまみ食い」の謗りを免れないように思います。

インフレターゲット特集は・・・いつ書けるんでしょう(笑)。日銀の独立性の話も書きたいんですが、動学的不整合の話から説明しないと独立性の議論はできませんからね・・・ああ、時間が欲しいです。

銀行改革によってクルーグマンの議論の有効性は高まってきたと思います。ただ、条件がどう変化しようが、「今」マネーサプライを増やす政策を正当化することは不可能ではないでしょうか(バーナンキみたいに実物財買ってマネーディマンド増やすってのなら別ですが)。そんな論文は見たことがありませんし、ざっと考えても無理っぽい感じがします(去年書いたとおりです)。当座預金についても同様です。ただ、その辺りのスタンスを整理せずに突き進む今の日銀のありようは明確に間違っていると思いますが。

景気回復の十分条件ですか。合理的期待形成を仮定しないで財政支出拡大ですね。ただし、理論的には正しい等価定理が今後突然有効になる可能性は否定しようがないので、半年様子を見て民間消費が冷え込むようなら日銀がファイナンスすればいいのでは、と。政治的に可能なら円安誘導の方が魅力的なのですが(合理的期待も仮定できますし)、ちょっと現状では無理そうですから・・・。ウッドフォード(≒クルーグマン)の議論も面白そうですが(難しくて良く分かりませんが)、やはりコミットメントの問題が気になるので私はスヴェンソンのアイデアの方が好きです。

Posted by: 馬車馬 | November 19, 2005 at 08:45 PM

あ、後で書くと書きながら忘れてましたが、期待インフレ率のコントロールについては慎重であるべきだという点について。もし日銀が自由に期待を操作できるなら、金利のコントロールは不要になるということを確認してください(期待をいれたフィリップスカーブを考えるだけで構いません。sacrifice ratioがゼロになりますよね)。そんなことが出来ないから金利をいじっているわけで。そういう現状を無視して中銀が宣言すれば期待インフレ率は変わる、と短絡するのは無理だと思います。昨年も書きましたが、手品にはタネが要るのです。

と、これがインフレターゲット特集第1回の内容の全てなのですが、これを一から書くのってしんどそうですよね。

(以下追記)
それから、改めて「リフレ派」の定義の話に戻りますが(書き忘れていました)、このやたらと曖昧な定義が議論の組み立てを混乱させている側面はないでしょうか。svnseedsさんは『今ではマネーサプライの増加はデフレ脱却に際し先行するべきとは考えていません』とおっしゃいました。このような自説の変更は柔軟に行うべきであり、むしろ歓迎されるべきものだと思います。しかし、これは決して小さな変化ではありませんよね。MS増加→(期待インフレ率上昇?)→デフレ脱却、から、期待インフレ率上昇→MS増加へと因果関係が変化しているわけですから。この変化はどこから来たのでしょうか?svnseedsさんの経済に対する見方がどこか変化したからこそ自説が変更されたわけで、何が変わったのかは(少なくとも本人自身にとっては)明確でなければならないと思います

「リフレ派」という曖昧な定義の下では、このような大きな変更もminor correctionとして無視されてしまうように思います。ですが、それらは本来決してマイナーなものではありません(例えば、前者では期待インフレ率の操作可能性はマネーサプライからもたらされているように見えますが、後者ではあらかじめ仮定されてしまっています)。前のコメントにも書きましたが、自分の議論の前提条件を自覚しているなら、自説の変更が状況の変化からきたものなのか、考え方の変化からきたものなのか、が説明できるはずですし、そうすべきではないでしょうか。

「リフレ派」の定義の曖昧さがこのような議論のプロセスの重要さを過小評価させてしまっているように思えるのです。

先週、私が非難してやまない(私の定義での)「量的緩和」の支持者(だった人たち)は日銀に限らず一度総括した方が良い、と書きましたが、それも同じ問題意識に拠るものです。

Posted by: 馬車馬 | November 19, 2005 at 08:55 PM

のびいさん:

大体そんな感じで考えております。少なくとも、財政政策の効果は多かれ少なかれ減衰していたのだろうなと。ただ、今は一応景気回復過程にはあるわけで(今後どうなるかは知りませんが)、今は公共投資とかを増やす必要はないと思います。逆に、先行き不透明な以上は、増税などもっての外です。利上げなどよりも更にたちが悪いです。

そういえば、日銀の悪口ばかり書いて財務省をこき下ろすのを忘れていました。私から見れば、どっちも同罪だと思います。頼むから今から増税の話ではしゃぐのはやめて、と。

Posted by: 馬車馬 | December 01, 2005 at 03:28 AM

谷垣財務相は増税話で総裁レースから一歩後退してしまいましたね。

ちょっと馬車馬さんに質問なのですが、財政再建を進めるには、
現在のようにデフレかつ低金利なのと、デフレを脱却したはいいもののやや高金利になるのとどちらが望ましい状況なのでしょうか。

早く財政再建しないと高金利になって雪だるま式に借金がふくれあがるというのが増税論の根拠でもあると思いますが。

Posted by: のびい | December 04, 2005 at 01:02 AM

のびいさん、コメントありがとうございます。

とりあえず、利払い増加額以上に税収が増えればよいわけですから、「やや高金利」がどのくらいなのかによります。

一般的には、利払い額は過去の金利水準にも左右されるので、ちょっと金利が上がっても利払い額はそれほど増えないとは思いますが。国債利回りがよほど非常識なジャンプをしない限り、景気が良くなった方が財政再建は進めやすいと思います。

とりあえず、その議論は税収と金利に正の関係があることを無視した議論ではないでしょうか。

ついでなので、金利の低い今のうちに長期債を多めに発行しておくとなお良いと思いますが。

Posted by: 馬車馬 | December 05, 2005 at 12:46 AM

どうもです。また間があいてしまってすみません。気付いたらもう1ヶ月近くたっちゃってますね・・・。

ご指摘のように、僕自身見解が以前と変わっているところが結構あります。何しろ勉強中なものでして。でもその辺ちゃんとdeclareしないのは確かにダメですね。おいおい整理して自分のところで書いていきたいと思います。

とそれだけじゃあまりにアレなんでちょっと簡単に書いておくと、マネーサプライについてはおっしゃる通り、今増やそうとするのは意味ないしそもそも無理、と考えるようになりました。これは主に馬車馬さんの当初からの主張(マネーサプライが増えるのは事後的に見て銀行か輸出か財政かのチャネルであること)に納得がいったからでもあるし、また大恐慌・昭和恐慌に関する文献をちゃんと見直したからでもあります。そもそもクルーグマンにしてもマネタリーベース増やすだけじゃダメだ、って最初から言ってますしね。完全に僕の無知から来る誤謬でした。

今は、日銀によるターゲットの宣言->長期国債買い切りによるMB増加->期待インフレ率上昇->実質金利低下・資産価格上昇・為替下落->輸出・投資増加->景気回復->銀行チャネル復活・MS増加、というようなパスを考えています。以前はMS増加が資産価格上昇等とともに起こると考えていたわけですが、今はリフレの結果として銀行チャネルの復活と一緒に(もしくは為替下落による輸出の増加と一緒に)起こると考えています。ただ、どちらも期待インフレ率の上昇は日銀によるターゲットの設定とその後のMB増加(国債買い切り)が出発点なのは同じです。

また、財政政策と金融政策のどちらが主でどちらが従か、ってのは色々議論がありますね。馬車馬さんの主張はFTPLに基いた議論にかなり近いと感じています(「新しい物価理論」今読んでるんですが面白いですよ。既読だったらすみません)。また、今読みかけのBenhabibでは、まさにクルーグマンが財政政策にmentionしていない、とありますし(これは誤解だと思いますけど)。

ただ、財政政策が主としても、Non-Ricardianであることを担保するためには、やはり政府がコミットメントを利用して市場や民間の期待に働きかける必要があるわけで、ずっと財政を拡張するわけにはいかない=デフレ脱却後はRicardianに戻る、という点を考えると、期待に働きかける金融政策と似たようなものじゃないか、と思ってます。まこの辺はもうちょっと勉強してみます。

その他、論点が結構多く、まだ消化しきれていないところが多いので、繰り返しになりますが、徐々に自分のところで整理していきたいと思っております。未熟者ですみませんが今後とも引き続き議論させていただければ嬉しいです。ではでは。

Posted by: svnseeds | December 17, 2005 at 12:45 AM

svnseedsさん、コメントありがとうございます。

個人的には、全般的にターゲティングポリシーは難易度が高いと感じてます。その辺りはいつか特集記事で書こうとおもっているのですが、将来の行動をどうコミットするかというのはあまり簡単な話ではありませんから。コミットメントという観点から言えば、svenssonのアイデアは一番無理が少ないと思います(為替政策が日銀に委譲されるのを前提として、ですが)。ただし、svenssonのアイデアには実行可能性に難があるのですが。

1年前に例のシリーズものを書いていたときに、コメント欄で鹿さんに「FTPLに似てますね」というご指摘は頂いていて、そのときにざっとサーベイを流し読みしたのですが、その後勉強をサボっている状態です。教えていただいたテキストを私も当たってみようと思います。

Benhabib et alの一連のペーパーは面白そうですよね。ゼロ金利で安定均衡になってしまうということが、比較的単純な理屈で説明されていて、私も興味を持ちました(まぁ、複数均衡はどうも解釈に困るんですが)。

年末年始にインフレターゲット特集を書いてしまおうかとも考えていたのですが、この辺の一連の流れをカバーしてからにしようと考えを改めました。これでまた半年くらい書くのが遅れそうな気がします(笑)。

Posted by: 馬車馬 | December 21, 2005 at 05:43 AM

楽しく記事を読ませていただいております。
ところで、本題とは関係ないのですが、potencyを潜在力と訳しているのが明らかな誤訳だと書かれておりますが、正しい訳はどういった物か教えていただけますでしょうか?

Posted by: そうかい | August 16, 2006 at 04:17 PM

そうかいさん、コメントありがとうございます。

直前に亀の寓話が出てきていることからも、potencyの和訳(リンク先4番目)の性的能力ないしは精力を意味しているととるのが自然だと思います。potencyの反語がinpotency、すなわちインポテンツです。

Posted by: 馬車馬 | August 25, 2006 at 06:59 AM

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» 『日はまた昇る』 [男子の本懐]
日はまた昇る――日本のこれからの15年 作者: ビル・エモット 出版社/メーカー: 草思社 発売日: 2006/01/31 メディア: 単行本 『日はまた沈む』という本をご存知でしょうか?1989-1990くらいに出された本で、1993年の日本のバブル崩壊を予想し、ベストセラーになった本です。 その著者であるビル・エモット氏が約15年のときを経て世に出した本、それが『日はまた昇る』です。 この本はタイトルからも分かるように日本経済復活を宣言し、長い1... [Read More]

Tracked on March 08, 2006 at 03:27 AM

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