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インフレ・ターゲット(2):中央銀行を「信じる」ということ

さて、前回は日銀はなぜ「物価の番人」と呼ばれるのか、そしてインフレを抑えるためには失業者を増やさなければならないというジレンマがあることを説明した。更に、期待インフレ率を直接コントロールできるなら、失業率を上げることなくインフレを抑えることが出来ること、しかし期待インフレ率のコントロールというのは簡単なことではないことを説明したところで終わったのだが、今日はその続きを。

なお、前回のコメント欄で日本の「リフレ」関連のコメントを頂戴したが、今回のエントリーは「いかにインフレを抑えるか」が主題であって、「いかにしてデフレから脱出するか」は次回以降に説明することにしたい。その意味で、前回と今回のエントリーは今後の金融政策を議論するもので(もしこのまま景気が回復するなら、という条件付きだが)、次回以降のエントリーが今までの金融政策について議論するものだ、と言えるかもしれない。

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インフレ・ターゲット(1):中央銀行の仕事と「期待」の仕組み

多くの読者が、そして筆者自身も既に忘れてしまっていることではあるが、このブログのメインコンテンツは金融政策ということになっている。それでブログ開設から半年ほどかけて量的緩和について色々と書いたのだが、金融政策関連の大ネタであるインフレターゲットについてはあまり書くつもりが無かった。

やはり人間というのはネガティブな動機に突き動かされる方がやる気が出るものであるらしい。筆者にとって「許容しがたい暴論」である量的緩和については、反論も悪口もいくらでも書ける。一昨年の20回シリーズでもまだ書き尽くしていないほどである。しかし、必ずしも賛成ではないが「議論としては分かる」インフレターゲットについては、色々書く気になるほど怨念(笑)が溜まっていなかった。そんなわけで、「この話はそのうち纏めたいなー」と思いつつも1年以上放置してきたのだが、1年も経つと色々と蓄積されるものがある。勘違いとか誤用とかが多過ぎませんか。少なくともネット上では。

この勘違いの源は実は明らかだ。我々が「インフレターゲット」と呼んでいる政策には実は2種類ある。この2つの政策は根本的に違う理屈なのだが、何となく見た目が似ているからか、同じ「インフレターゲット」という名前が冠せられてしまった。その結果、「インフレターゲットその1」を説明するために「その2」の理屈を使ってしまったり、「その2」への反論に「その1」の理屈を使ったり。ちなみにこの手の勘違いの典型例が「イギリスその他の諸国でインフレターゲットは成功しているのだから、日本も『デフレから脱出するために』インフレターゲットを採用すべきだ」というものだ。読者の皆さんも一度は目にしたことがあるのではないだろうか。

そんなわけで、これから5回シリーズくらいで、色々なインフレターゲットの議論を自分なりに整理して見たい。ちょうど日銀も無駄にやる気を出していることだし、金融政策ネタをやるには良い頃合だろう。念のために書くが、筆者は基本的には素人であって、この整理はなによりも自分自身の勉強のためである。上で偉そうなことを書いておきながら、実は自分が勘違いしてましたという可能性も低くはない。その辺りは適宜ツッコミを頂ければ有難い。

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